死亡事故における損害賠償と算出方法

死亡事故の賠償にも積極損害と消極損害があります

交通事故が起これば被害者が亡くなる場合もあります。
親しい人の死を金銭に代えることに抵抗のある方もおられるとおもいますが、
一家の働き手を失ってしまったような場合には、現実に大きな経済的な打撃を受けるわけですので、
加害者に請求すべき損害は漏れ無く請求しなければなりません。

死亡事故における損害には、財産的損害と精神的損害があります。
さらに財産的損害は、積極損害と消極損害に分かれます。
積極損害とは死亡に至るまでの治療費や付添看護費、交通費など、また消極損害とは、
死亡による逸失利益を指します。
そして、精神的損害は死亡によって遺族の受けるショックに対する慰謝料を指します。

死亡事故特有の積極損害には葬儀費がある

交通事故の被害者が死亡した場合には、
積極損害として葬式などの費用を加害者に請求することができます。
具体的には、遺体の運搬費用や、寺や神社、教会などに支払う費用、葬儀社に支払う祭壇や供え物などの諸費用の請求が認められます。
ただし、香典返し・引出物代、49日忌を超える法要費等の費用は認められていません。
その額は裁判上定額化されており、原則として130万円〜170万円の範囲で賠償が認められています。
請求には領収書など支払いを証明するものが必要です。
ただし、その金額がこれらの定額を下回っている場合には、実費が損害額となります。
このほか仏壇の購入費や墓石の建立費などは、社会通年上相当と認められれば請求は可能です。

逸失利益

人が亡くなるということは、その人の来来の時間が失われるということです。
経済的な面から考えれば、生きていれば労動により得ることのできた収入が、
死亡により失われたということになります。

死亡の原因が交通事故であるならば、
失われた収入は、逸失利益として事故の加害者に請求するとができます。
死亡事故の逸失利益の計算で重要なのは、
亡くなった人が生前にどれだけの収入を得ていたかを証明することになります。

①サラリーマンの場合
サラリーマンの収入には、本給のほか、歩合給、諸手当、ボーナス、
その他に退職金や昇給分も含まれます。
収入の証明は、源泉徴収票または納税証明書によって行ないます。
記入されている年収総額が、そのまま年収となります。

ボーナスについては、中小企業などでも年間2か月程度は
支給されることが社会通念となっていることから、
判例でもこの額を採用しています。
退職金については、定年まで動務すればもらえた退職金の額と、死亡して遺族に支払われた退職金との差額を請求することができます。
昇給に関しては、社則などで明確に基準が示されている場合には、収入に加算されるのが一般的です。

②事業所得者の場合
事業所得者の収入は、
亡くなった年の前年度の所得税確定申告での
年間所得額を基準とします。
ただし、飲食店や商店などの個人経営者で、
家族が仕事の手助けをしているような場合は、
事業収益全体のうち、本人が占める寄与分が基準となります。
これらの所得額から、経費と税金を差し引いた額が年収となります。

③主婦などの家事従事者の場合
後遺障害の逸失利益の場合と同様、
金銭的に評価することが可能であると認められ、
死亡によりその利益が失われた場合には、
逸失利益として損害の請求ができます。
具体的には、
賃金センサスの女性労働者平均賃金の額が基準となります。
ただし、家事従事者にパートや事業による収入があって、
その収入額が右記の賃金センサスの額を上回っている場合は、証明を提出することによって、
その収入額を基準に計算します。

④失業者や不労所得者の場合
失業者の場合、勤労意欲があり、就職する意思が確認できれば、逸失利益は認められます。
その場合、再就職が決まっていた、あるいは決まる可能性が高かった人については、
再就職先の給与を基準とします。
それが証明できない場合は、失業前に勤めていた会社の収入を基準にします。
前の会社から収入の証明を受けられないような場合には、
貨金センサスによる男性・女性労働者の平均賃金を基準にすることになります。
死亡した被害者が年金を受給していた場合には、その年金も基礎収入として認められています。
ただし、家賃収入などの不労所得は、 遺族にその権利が受け継がれますから、
逸失利益とは認められません。

逸失利益の算出には特別な式がある

交通事故による死亡の逸失利益の算定方法は、P 69の数式で表わされます。
原則として、基礎年収から、生活費控除として一定割合が引かれます。
控除額は被害者がどんな立場だったかによって異なります。
そして、この算出された金額に対して、
就労可能年数に応じたライプニッツ係数(P80参照)を掛けて算出します。

①基確収入
後遺症による逸失利益の場合と同様、原則として、
交通事故以前の実際の収入額とされています。
また、将来において収入が増加することを立証できれば、
その金額を適応することができます。

②生活費控除率
生活をするためには、生活費がかかります。
逸失利益の算出にあたっては、被害者が死亡した場合には、生活費がかからなくなるわけですから、
収入から生活費を控除する(差し引く)ことになります。
控除額は、一家の生活を支えていた働き手の場合と女性の場合、
そして男性単身者等で控除率が異なります。
一家の支柱 被扶養者1人の場合 40%
被扶養者2人以上の場合 30%
女性(主婦、独身、幼児等を含む) 30%
男性(独身、幼児等を含む) 50%


③労働能力喪失期間
後遺障害による逸失利益の場合と同様、原則として、就労可能年限(67歳)までとされます。
また、18歳未満の未就労者の場合には、算出法はやや異なります。
労働能力喪失期問に対する一定の係数も、後遺障害による逸失利益の場合と同様、
ライプニッツ係数が用いられています。
なお、定年制がある場合でも、定年後67歳までは再就職をして働くことが可能だと考えられています。
ただし、定年から67歳までの期間の逸失利益に関しては、
定年前までの収入額より減額される場合もあります。


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