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ひき逃げや加害車両が自賠責未加入で自賠責保険が使えない場合

自動車損害賠償法により補償を受けることができます

交通事故に遭ったものの、加害者が逃亡した場合や
自賠責保険に加入していなかった場合は、
加害者側からの補償を受けることが困難になります。
自賠責保険未加入の場合は勿論、加害者が特定できない場合も
自賠責保険による補償を受けることはできません。
ご自身やご家族加入の保険でカバーされる場合(後述)も
ありますが、後遺障害等級の認定など、
本来自賠責に求める手続きができないことは
被害者にとっては大きなマイナスです。
このように自賠責保険を使うことができない自動車事故の被害者を救済するために、
自動車損害賠償保障法にもとづいて、政府が加害者に代わって被害者に対して填補する制度があり、
自動車損害賠償保障事業制度(政府保障事業)といいます。
自賠責保険とほぼ同内容の給付が受けられ、この給付手続きは自賠責保険を取り扱つている保険会社であればどこでも手続きが可能です。

政府の保障事業は自賠責保険より厳しい

自賠責保険の場合は被害者の重大な過失がなければ支払額の減額はされませんが、政府保障事業では、
少しでも被害者に過失があれば一般の民事損害賠償事案と同じように過失相殺がされます。
被害者へ支払った填補金については、政府が全額加害者に請求することになります。
自賠責保険のように仮渡金や内払金の制度がありませんので、
立て替えて支払った上で請求することになります。
なお、政府の保障事業に対する請求権は、事故発生日(後遺障害は症状固定日、死亡は死亡日)から 3年(平成22年3月31日以前に発生した事故については2年)で時効となります。


傷害事故・治療関係費、休業損害、慰謝料等が支払われる。
・限度額:120万円
後遺障害を残した事故 •身体に残った障害の程度に応じた等級による逸失利益、および慰謝料が支払われる。
•限度額:障害の程度により3,000万円*から75万円
※平成14年4月1日以降に発生した事故で、神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残して常時介護が必要な場合は4,000万円となる。
死亡事故・葬儀費、逸失利益、被害者本人の慰謝料および遺族の慰謝料が支払われる。
・限度額:3,000万円

被害者自身加入している自動車保険での損害賠償

任意保険には、人身傷害特約、無保険車傷害保険や搭乗者傷害保険などの加害者の支払い部分を立て替えたり不足分を補う目的の契約があります。
よって被害者がこれらの自動車保険に加入していれば、相手が任意保険に加入していなくても、死亡や後遺障害、傷害に対する賠償は受けられることになります。
本人が自動車保険に加入していなくてもご家族が加入している場合、
適用されることもありますので確認が必要
です。

搭乗者傷害保険は損害額に満たないこと

搭乗者傷害保険の場合は、被保険車に乗っていた人が、 ケガの内容等に基づいて約款に定められた額を保険金として受け取ることができますが、定められた額が損害額に満たない場合もあります。
その場合、人身傷害補償保険を付加していれば、過失割合に関係なく、
契約した金額内で総損害額全額が補償されます。
人身傷害の場合も基本は契約による支払基準になりますが、損害賠償請求の進め方によっては裁判基準等での請求も可能な場合もありますので、 損害賠償請求に関しては一番ベストな方法を選択し、進めることが望まれます。
人身傷害補償保険で補償される事故の場合、人身傷害補償保険から優先的に保険金が支払われ、
それを超過する額は無保験車傷害保険で補償されます。

未成年者が加害者の場合の請求先

加害者が未成年者であっても、自動車保険が適用
される場合は、保険会社が損害賠償を補償しますので
あまり問題になることはありません。
しかしながら、保険会社が保険の適用を拒否した
場合に請求できる当事者として
保護者の責任の可否が問題となります。

未成年者に責任能力(行為の結果何らかの責任が
生ずることを判断する能力)があるときは、
その未成年者が賠償責任を負うことになります。
事案の内容にもよりますが、
判例は12歳前後を基準としており、たとえば高校生の場合などでは
責任能力ありと判断される事例が多く親に損害を請求することはできません。
ただし、一定の条件を満たしていれば、親が運行供用者と認められ、親の賠償責任を問うことができます。


(1)加害車両の所有者が父親など親権者であれば、
人身損害については、基本的には所有者である親に対して「運行供用者責任」として損害賠償を請求できます(自賠法3条)。

(2)加害車両が未成年者自身の名義でも、親権者に「運行供用者責任」を追及できる場合があります。
・親子が同居しているか
・車両の購入費用は誰が負担したか
・車両は主に誰が使用しているか
・保険の加入名義は誰になっているか
などの様々な事情を総合的に考慮して決められます。

(3)加害車両が親の所有ではなく、親の「運行供用者責任」が認めにくい場合でも、親の監督義務者としての責任(民法709条に基づく一般の不法行為責任)が問える場合もあります。
・親が相当の監督をすれば防止できたこと
・監督が現実に可能であったこと
・監督せず放置しておけば加害行為が発生する可能性が高いこと
などの要件が満たされるかがポイントとなります。
このように、親に対し請求できる可能性はあるものの任意での交渉でまとまることはまずないでしょうから、このような場合は早めに適切な弁護士に依頼することが望ましいと思われます。


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